今日のポエムが明日の活力

母の裾まつり つづき

投稿日:2017-03-17 21:16:12

母の裾まつりには続きがある
提出のためにブラウスを持っていくと
クラスで皆が机の上に作品を広げて品評会が行われた
それぞれに苦心した作だった
特にボタンホールは明暗がくっきりと分かれた
クラスメートの何人かはミシンで綺麗にボタンホールを仕上げていた
仕立て屋さんに頼んだという人もいた
ミシンで仕上げたボタンホールのなんて綺麗な事
均等に並んだまっすぐな糸かがリ
手縫いのボタンオールが醜く映る
半ばやけくそな気分だった
母に頼んだ裾まつりは最悪だし
ボタンホールは頑張ったけれどいびつだし

けれどそれは思ってもいなかった奇跡だった
ボタンホールの評価が「5+」だったのだ
最高点のさらに「+」がついた評価
先生は「とても丁寧に仕上げてましたね」とほめてくれた
そしてこうも言った
「裾かがりも、もっと上手にできなかったのかしら?」
母の手縫いを見透かすような意味深な言葉
ブラウスを抱えて母のいびつな裾まつりをほどき
丁寧に縫い直した
こんなことなら最後まで頑張ればよかった
絶対母より私の方が綺麗に縫えたのだから

あれ以来物事を途中で放り出そうとするときは自分を戒める為の教訓にしている
最後のひとかがりを終えて初めて私は両手を上にあげてこぶしを握る
どんな結果でも納得して全部を受け止める為に
もしも母の裾祭りが高評価だったらと思う事がある
私はまたずるをして、そのうちに酷いしっぺ返しに
もっと大きな落胆と反省を余儀なくされただろう
一所懸命に下手に縫ってくれた母の優しさ
それは私の甘くて苦い愛で溢れた記憶だ




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